トップページ>   身体編>   解剖と生理>   消化器系

◆消化器系
 
栄養を摂り込めるように食べ物を細かくすることを消化といい、栄養を体内にとり入れることを吸収といいます。これは消化管という口から肛門までの経路で行われています。消化管の筋肉は、平滑筋でできているため、意思とは関係なく動いています。
食べ物を飲み込める形に噛み砕くことを咀嚼といい、食道へ送り込むために飲み込むことを嚥下といいます。上下あわせて32本の歯があり、前歯で食べ物を噛み切り、奥歯で噛み砕きます。
嚥下運動は、    
第1相…(口腔咽頭相)
食べ物を咽頭へ送り込む、随意的に行う運動です。
第2相…(咽頭食道相)
咽頭から食道の入り口まで食物を送り込む運動で、食物が咽頭に触れると反射的に喉頭蓋が持ち上がり、食道に送り込まれる不随意運動です。このとき声門は閉じ(嚥下性無呼吸)、食物が気管内に入るのを防ぎます。
第3相…(食道相)
食物が食道を通っていく不随意運動です。
第2相の不随意運動は、嚥下運動を支配する神経系に障害がおこると、食物をうまく飲み込むことができないばかりか、食道に接している声門から気管に食物が入ってしまうと、窒息や誤嚥性肺炎の原因になります。
舌の裏側の舌下腺から唾液が分泌されます。この唾液の中には、アミラーゼと呼ばれる酵素が含まれており、炭水化物の消化に役立っています。
食道は、25pほどの長さがあり、前歯から胃の入り口、噴門までは約45pです。食物が食道を通過するときは、食道の上の筋肉が縮み、下の筋肉が拡がる蠕動運動という動きで、胃に食物を送ります。
胃液は、強い酸性の液体で、1日1500ccほど分泌されます。この胃液には粘液や、塩酸やペプシンという消化酵素が含まれています。酸の働きにより、食物を溶かしたり殺菌をするとともに、タンパク質を分解する役割をはたし、胃の筋肉の動きによって食物をかゆ状にし、十二指腸へと運びます。
胃の内容量は、1200ccほどで、普通食のときは、食後約10分で十二指腸への移送が始まり、3〜6時間ですべて送り込まれます。水はほとんど胃から十二指腸に流れ込みます。3大栄養素のうちで炭水化物がもっとも速く移送されます。タンパク質はその倍の時間で移送され、脂肪はもっとも時間がかかり移送されます。
胃から送られてきたかゆ状の食物は、膵臓から分泌される膵液、肝臓から分泌される胆汁、十二指腸から分泌される腸液により消化が行われます。
胆汁は、脂肪を分解します。
肝臓は、老廃物や薬物の解毒をしたり、栄養分を貯蔵したりする役割のほかに、アルブミンなどのタンパク質や、止血に必要な血液凝固因子をつくっています。
胆嚢は、胆汁をためておく袋の役割をしています。
胆嚢の中に胆石ができることがあります。
膵臓は胃の裏側にあり、膵液を膵管に分泌する外分泌機能と、血液中にインシュリンなどのホルモンを出す内分泌機能があります。1日700〜1000ccほどの膵液が分泌されています。
膵液は、炭水化物をブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に、脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解します。
脾臓は、古くなった赤血球を壊す役割の他に、免疫にも関係しています。
小腸は、約5mの長さがあり、上方の2/5は空腸、残り3/5が回腸です。小腸へ送られた食物は、腸液によってさらに消化されます。腸液分泌量は、1日1500〜3000ccほどで、多くの消化酵素を含んでいます。
大腸は、小腸に続き長さ1.6m、太さ5〜8cmほどで、盲腸、結腸、直腸から構成されています。結腸は、上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸の4つの部分に区分され、腹部の周辺を取り囲むように存在しています。大腸は、小腸で栄養素を吸収された後の食物から、水分を吸収して糞便をつくります。糞便は直腸に入り肛門から便として排出されます。

消化器系の病気へ
学びたい方はクリックして下さい